「うつ」と「うつ病」の違い

「うつ」と「うつ病」の違い

「うつ」と「うつ病」は違う

現代病と呼ばれ、10人に1人が経験するといわれるうつ病。

もはや、うつ病は他人事ではなく、全ての人にとって避けては通れない問題になっています。

では、うつ病にならないためには、何が必要なのか?

それは、まずは正しい知識を身につけることです。

うつ病の情報は多いのですが、それとともに「うつ」について誤解している人も増えているようです。

その中で、私が一番多いと感じるのが、「うつ」と「うつ病」の区別の誤解があることです。

生活しているなかで、誰でも次のような経験があると思います。

忙しくて疲れている、思うように結果が出ないことが続いて元気が出ない。
期待していたことが外れて落ち込みが続いている。
大切なものを失って落ち込んでいる。
大切な人と別れて落ち込んでいる。
思いもよらない酷い経験をして落ち込んでいる。

こうした経験をすると、誰しもいつもより長く落ち込んだ状態が続いたり、しばらく悲観的に物事を受けとめてる時期が続いたり、元気が出なくなる時期があります。

こうした落ち込みは、人間として自然な反応です。

このような、人間として自然な反応により落ち込んでいる状態を「うつ」といいます。

「うつ」は、その時の精神的な状態をあらわしています。

個人差はありますが、我慢したり無理せず、スローダウンして気分転換したり、信頼できる人にいろいろ話をきいてもらったり、一人の時間を大切にして自分の気持ちや疲れた身体をケアすることで、時間の経過とともにうつ状態から回復して元気になっていきます。

一方、精神的ストレスや身体的ストレスが重なるなど様々な理由から、脳がうまく働かない機能障害をおこしている状態のことを「うつ病」と言います。

「うつ病」の症状は、うつ状態にくわえて、眠れない、食欲がない、ものの見方が否定的になる、自分はダメな人間だと感じるといった、身体症状と精神的状態の両方が不調になります。こうした状態が回復せず、相当な期間続いている場合、うつ病になっている可能性があります。

うつ病と精神力は関係ありません

毎年、情報量が増えて、誤解は減っていきているとは思いますが、それでもまだまだ、うつ病になる人は、心が弱いから、強い精神力がないから、と誤解している人は少なくありません。

「うつ(うつ状態)」は誰でも経験する人間として自然な反応です。

一方、「うつ病」はストレスの影響で脳が機能障害を起こしている状態なので、心や精神の強弱は「うつ病」には関係ありません。

逆に、一部の「うつ病」は、責任感が強く、我慢強く、意志の強い、自分の力で何とかしようとする人が「うつ病」になるリスクが高いと言われています。

また、トラウマの影響による、ストレス反応としての凍りつき反応は、うつ状態になるので、その場合は、トラウマの癒しに取り組むことが必要です。

意外と難しい、うつ状態の自覚

もし自分がうつ状態で、それが続いているとしたら?

ある程度の知識があれば、必ず自覚できると考えている人が多いように思います。

しかし、意外と自分一人だけで、うつ状態を自覚するのは難しいものです。

うつ状態は、典型的な抑うつ気分(気分の落ち込み)から始まるとは限らないからです。

うつ状態は、体の不調として現れることもあります。

例えば、全身の倦怠感や眠気が出て、徐々に判断力や集中力が低下していく。

朝、起きるのが辛い状態が続く。

会社や学校など、特定の場面だけに拒否反応が起こるなど、いろいろなパターンがあります。

「悩める健康人」、「行き詰った健康人」のうつ状態

大切な理解は、うつ状態は、必ずしも「うつ病」であるとは限らないということです。

「悩める健康人」「行き詰った健康人」が、ここ数年のメンタルヘルスの啓発で、すぐに病院に行って薬を処方されて、残念ながら、うつ状態から本当にうつ病になるケースもあるといわれています。

理由は、身体症状や気分の浮き沈みや落ち込みが、現実的な問題へのストレス反応の範囲にある状態でも、患者が症状を訴えると、その症状に対処するために薬が処方されるからです。

本当の問題は現実的なことや人間関係や悩みの方なので、それに対処しないままなので、薬で症状に対処していても、結局、ストレス状態は続き、その結果、うつ病になってしまうこともあります。

「悩める健康人」「行き詰った健康人」がうつ状態から回復するためには、薬とは別に、心理カウンセリングが役立ちます。

あれっと、思ったら、まず病院に行く選択も大切ですが、心理カウンセリングを受けることも選択肢として入れていただくことをお勧めします。

自分をうつ状態にしてしまう「思考の癖」

うつ病にならないためには、早い段階でうつ状態に気づき、ケアすることです。

うつ状態になるきっかけとなったライフイベントや人間関係について、心理カウンセリングで自分の心の声にじっくりと耳を傾けて、心の整理をしたり、現実に対処していったり、これから自分が進む道を考えるという作業をしていくことで、うつ状態から脱して元気とエネルギーを取り戻していきます。

「悩める健康人」「行き詰った健康人」の中には、ストレスだけではなく、自分をうつ状態にしてしまう「思考の癖」をもっている人もいらっしゃいます。

次のような思考の癖が、物事の受けとめ方に影響して、自分を苦しめている原因になっていることがあります。

■ 部分的焦点づけ

良いことには目を向けず、悪いことにばかり注目してしまう。

■ べき思考

「こうするべきだ」「こうしなければならない」と、自分や他人に厳しいルールを与える。

こうした思考の癖に気づき、物事の受け取り方や考え方の幅を広げることで、自分を苦しめる状態から抜け出していくことができるようになります。

自分を助ける建設的な行動を増やしていくためのカウンセリングでは、自分の偏った思考の癖に気づいて、柔軟な思考に変えていくサポートをしていきます。

カウンセリングを受けることで、自分自身の状況や状態、人間関係がどのような状態なのか、それを理解するだけで解決に向けて大きく前進することも沢山あります。

文責 カウンセラー池内秀行


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プロカウンセラー池内秀行

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