セルフイメージと自尊感情 2009-07-09 UP

 

 セルフイメージと自尊感情

 

 昨年のリーマンショック以来、社会の状況が変化して、起業やビジネス系で言われた「セルフイメージ」に関するトピックが減ってきているような感じです。

 

 
 このセルフイメージですが、心理学用語としては「自己概念」です。

 

 
 しかし、セルフイメージを高めるという使われ方をしている時は、「自尊心」や「自己肯定感」「自己効力感」など、心理学的には様々な要素に区別してみていくことがポイントになります。 

 

 
 多分、一番多い「セルフイメージ」の使い方は、「自己肯定感」に焦点をあてているものなのではないでしょうか。

 

 
 しかし、実際に、起業やビジネスシーンで、成功や実績に直接関係してくるのは「自己効力感」です

 

 
 現実的に成功すること。

 

 より良いものを自分自身に与えること。

 

 良いものを他者から受け取ること。

 

 犠牲せずにより良い経験を自分にさせること。

 

 アクティブな側面を必要とする成功や実績は、基本的に自己効力感の有無と高さがポイントになります。

 

 

 では、自己効力感とは、どんなものなのでしょうか?

 

  

 自尊心etcと区別して説明したいと思います。

 

 
●自尊心は、「自尊感情」のことです。

 

 
 「自尊感情」は、自分自身を自己評価することによって感じる感情です。

 

 
 自分自身で、自分はそれなりの能力をもった大切な人間であると感じている感覚です。

 

 
 自尊感情の高さは、子どもの頃の、年齢に応じた、親の子どもに対する肯定的で無条件に受容する養育態度と強い関連があるとされています(参考 「心理学辞典(有斐閣」)。

 

 
●「自己肯定感」は、自尊心と同じようなニュアンスで使われることもありますが、「自分のことが好き」という感情と感覚です。

 

 
 自己肯定感は、「自分の良いところが好きで、自分の悪いところや嫌なところは嫌い」という段階から、「自分の悪いところも嫌なところも自分なんだ」というように、自分の一部として受け入れて、「そんな自分も丸ごと好き」という段階まであり、自尊心と区別することができます。

 

 
 他人がなんと言おうと、自分自身が自分をありのまま好きになったり、愛してあげることが出来る人ほど、自己肯定感が高いということになります。

 

 
●次に、「自己効力感」です。

 

 
 自己効力感は、「自分が当事者として、自分で行動することを決めて、その行動も自分でコントロールしているという信念をもっているのですが、自己中心的ではなく、自分自身に対する期待やニーズと、自分周囲の期待やニーズにも応えているという感覚」です。

 

 

 自分は、自分と他者の両方に役立つ行動が出来るし結果も出せるという、「当事者意識をともなう、自分はやれる!という自信」です。

 

 「自分の面倒もみれているし、他者の期待やニーズにもそれなりに応えているという、自己肯定感」であり、「自分は大人という自尊感情」です。

 

 
 自分が関わったことの結果を、自分のものとして受け取るには、当事者意識がないと気持ちよく受け取ることが出来ません。

 

 
 不況と言われている現在、それを乗り切ったり、チャンスに変えるために、何よりも大切なのは、この「自己効力感」です。

 

 
 そして、自尊心、自己肯定感、自己効力感、それぞれを高めるために全てに共通している大切なことがあります。

 

 
 それは、他者との健康的な人間関係です。

 

 
 セルフイメージ(自己概念)は、他者との関係の中で、育まれていくものです。

 

 
 そして、自尊心も自己肯定感も自己効力感も、全て、他者との関係の中で、認められたり、褒められたり、評価されたり、結果を出すことで認められたり、他者からのフィードバックにより高まっていきます。

 

 

 特に、それぞれが低いときや、ストレスフルな状態が続いているとき、もえつき感がある時、傷ついている時ときなど、自分と他者の区別がしっかりできない状態や混乱しやすい状態の時は、他者のフィードバックの影響を強く受けやすくなります。

 

 

 低い状態から高くなっていくプロセスの中で、批判したり厳しすぎる人の影響を受けすぎると、セルフイメージを他者に決められてしまうことを許してしまい、本来の自分の感覚や感情をおざなりにして、自分の基準が曖昧になっていきます。

 

 
 このような場合、実際には、セルフイメージはあまり高まらず、逆に、低下していくことや、歪んでしまうこともあります。

 

 
 また、不必要に褒めてくれる人や、具体的に良いところや才能などを早い段階から決めつけて評価してくれる人の影響も受けすぎると、セルフイメージを他者に決めることを許してしまうことになります。

 

 
 このような人達とのかかわりは、相手が善意であっても、悲しいかな、結果的に潜在的な可能性を押し込めてしまうことがあります。

 

 
 この両方の人達に共通しているのは、本人の気持ちや意見を聞かなかったり、聞いても批判的で受け入れてくれなかったり、その人が自分で言ったことや評価をこちらの状況や気持ちを受け入れて修正したり変更することなく、自分の評価を押し通す傾向があります。

 

 
 セルフイメージを高めてくれる関係は、批判でも決めつけの評価でもなく、フィードバックしてくれる関係です。

 

 
 批判とフィードバックの違いは、フィードバックは、フィードバックを受けた方が、そのフィードバックについての感想や個人的な意見を安心して言えるし、間違いや誤解、勘違いがあれば、相手にそれを訂正してもらったり表現を変えてもらう自由があるコミュニケーションです。

 

 
 批判や決めつけの評価は、伝える側の一方的なもので、実際はコミュニケーションになっていないのです。

 

 
 ですから、セルフイメージを高めていくためには、フィードバックをしてくれる人との関係がとても大切なのです。

 

 
 セルフイメージは、自分の感覚や感情、体験を尊重してくれる他者からのフィードバックで高まっていくものなのです。

 

 
 そして、高まるプロセスの中で、自分で自分にフィードバックすることが出来るようになると、他者からの不必要な影響を受けることが減少して、安定したものになっていきます。

 

 
 価値観や視点は多様なので、さらに自然にセルフイメージを高めていこうと思えば、様々な視点の違う健康的な人間関係を築いていくことも大切です。

 

 
 その意味では、批判や決めつけの評価をする人はもちろん、良心的にフィードバックをしてくれる人のセルフイメージに関する話も、必要以上に気にしすぎないよにすることが大切です。

 

文責 プロカウンセラー池内秀行