| 自分を表現すること自己実現の関係 |
●自己表現というのは、自分の内面の活動を様々な方法で他者に表現することです。
自己表現は、自分の内面を豊かにしていきます。
そして、自己実現へと導いてくれます。
自分の内面の活動とは、自分の考えや感じたことです。言葉にならない感じや、表現しがたい体の実感なども内面の活動になります。
●自己表現の方法は様々で多様
自己表現の方法は様々で多様です。
言葉、書くこと、ヘアスタイル、服装、表情、ポーズ、歌う、音楽、行動、身体的表現など、アクティブな動きから、動かないということまで、全てが表現になります。
●意識された自分と無意識の自分
人間は、意識していなくても、無意識に自分を表現しています。
意識、無意識という視点でみると、「意識した自己表現」と「無意識の自己表現」に区別することができます。
自分の内面を豊かにしていく自己表現は、「意識した自己表現」です。
自分というのは、自分自身だけではなく、他者に受け入れてもらったり認めてもらいながら、自分でわかるようになっていきます。
ですから、自分の内面を感じて意識することと、それを表現するという、2つがセットになって自分が確立されていきます。
●「本当の自分」と表現する範囲と方法
そして、自分で意識できた内面を表現する場合は、その表現する範囲と、表現方法によって、確立される自分というのも変わってきます。
表現する範囲と方法によっては、他者が受け入れられなかったり、否定されるというリスクがあるからです。
よく、「本当に自信があったら、人から否定されても反応しないし、傷つかない。」と言われます。
しかし、それは、それまでに充分に他者から受け入れられて、自尊心や自己肯定感、自己承認感が充分に育まれている場合です。
まだ、そこまで育まれていない、内面の自分というのは、生まれたばかりの赤ちゃんのようなもので、どの年齢になっても、他者の受容と理解と協力が必要です。
その点で、誰にどこまで表現するのか、そしてどんな方法で表現するのかは、自分の内面を大切に育むことと密接に関係しています。
「話す相手と状況とタイミングを選ぶ必要性」です。
「本当の自分」といわれるのは、この自分のことです。
●「成りたい自分」
「成りたい自分」になるのも「本当の自分」を育むのと基本的に同じです。
「成りたい自分」というのは、生きている体験の中で、こんな人間になりたい、こんな生き方をしていきたいというイメージや目標にそった自分です。
「成りたい自分」というのも、自分で自分を承認するだけではなく、自分以外の誰かの承認も必要です。
●「役割の自分」
そして、もう一つ「役割の自分」というのがあります。
「役割の自分」は、人間関係や会社、グループの中で、求められるアイデンティティをもった自分です。
「役割の自分」も、自分で自分を承認するだけではなく、自分以外の誰かの承認も必要です。
「役割の自分」は、関係性の数だけ存在します。
●社会的な大人
社会的に大人といわれるのは、「役割の自分」と「本当の自分」と「成りたい自分」のTPOがつく人です。
●大切なこと。「自分のこころの声を聴く」
「本当の自分」も「成りたい自分」も「役割の自分」も、自分で自分を承認するだけではなく、自分以外の誰かの承認も必要です。
そして、社会の中で、社会的な関係も個人的な人生も幸せに豊かな体験をしていくためには、現在の社会の構造上、この3つの「自分」を意識することが役立ちます。
人によっては、3つともしっかりしている人もいれば、どれか一つか二つは受け入れがたいという人もいて、現実的には、人それぞれです。
どのような場合も、それに応じた自分との関わり方や人間関係を身につけていったり、状況や環境を変えていったり、適応のしかたを工夫していけば良いのです。
人生、人それぞれなのですから。
自分にとっての幸せのかたちは色々あるし、人生は多様です。
それでも、工夫するだけではなく、途中のプロセスでは苦しいことや忍耐も経験するでしょうが、自分を意識的に育てていくという方法を選ぶと、内面的にも対外的な関係性の中でも、人生の体験が充実していきます。
「自分を表現」するとき、
「本当の自分」から表現するのか、
「成りたい自分」から表現するのか、
「役割の自分」から表現するのか。
その区別を意識していくことで、育まれる「自分」が変わっていきます。
そして、誰に、どこまでの範囲で、どのような表現方法で表現するのか?
この二つも大切です。
その意味で「自分の心の声を聴く」ことがとても大切なのです。
いつも「本当の自分」からしか表現していないと、周囲からどこか大人になりきれない人と誤解されてりるかもしれません。
そして、いつしか「本当の自分」が自分の人生の足を引っ張っているように思うようになり、自分で自分の才能を否定するようになっているかもしれません。
そこに「成りたい自分」もいると、自分の人間性を誤解されているような体験をしているかもしれません。
いつも「成りたい自分」からしか表現していないと、「本当の自分」との違いで葛藤を感じていたり、自分が偽者のように感じているかもしれません。
そして、「役割の自分」は他者の役に立っていたり感謝されているのに、「役割の自分」の功績を受け取れないでいるかもしれません。そんな、 「役割の自分」を嫌っているかもしれません。
「成りたい自分」にこだわりすぎていることで、周囲から何かに嵌っていると誤解されたり、夢は夢で現実は厳しいといわれて、どこかで凹んでいるかもしれません。
いつも「役割の自分」からしか表現していないと、自分にも他者にも厳しくなっているかもしれません。
そして、どこかで自分や他者にうんざりしていたり、他者から、気持ちをわかってもらえない、話を聴いてくれない、厳しくて心が無いとい言われて、こんなはずじゃないと、いつもどこかで何かが違うと感じているかもしれません。
それが続くと、仕事はうまくいくけど、人間関係がうまくいかなくなったり、慢性的にうつのような感じになったり、実際、治療が必要なうつ病になっているかもしれません。
どこか自分に偏っているなと感じたら、他の自分の声もしっかり聴いて、その声に応えて、「自分を表現」してあげましょう。
●自己実現は貯金みたいなもの
自己実現は、「する」ものではなく、「自分の内面を多様な方法で表現して生きていく」ことで「ポジティブな気持ちや感情をこころの中に貯金していくこと」です。
その貯金を、他者との関係に使うことで、ポジティブな体験を創造して、またそれが増えていきます。
そして、時に人を癒し、勇気づけ、才能を発掘したり伸ばしたりします。
「自分の内面の感じを意識して、それを表現して、ポジティブな気持ちや体験の貯金を増やしていきましょう!」
文責 プロカウンセラー池内秀行
